一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
目を輝かせる私を見て、ようやく彼が笑った。
「お前、子供みたいにはしゃぎ過ぎ。あっちは東京側だな」
「月も真ん丸だよ」
空を眺めれば、月が私達を見下ろしている。
清らかな光で心も癒やされる。
「やっぱり風がちょっと冷たいな」
匡が背後から私を包み込むように抱き締めてきてドキッ。
「匡、どうしたの?」
「俺寒がりだから、お前で温まってる」
子供っぽい口調で言われるが、ドキドキしながら言い返した。
「なにそれ?私はカイロじゃないよ」
「いや、俺専用のカイロだろ?」
クスクス笑いながら私をギュッとする彼。
「ちょっと匡!離れなさいよ」
抗議するが、彼は私を離さない。
「あったかいな、お前」
耳元で囁かれて、胸がキュンとなる。
そんな幸せそうに言わないでほしい。
匡に愛されてるって思っちゃうよ。
このまま時がとまればいいのに。
そう願わずにはいられない。
「ねえ、匡」
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