一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「気をつけて行って来て。スマホとかハンカチ持った?」
昨夜キスをしたのに、彼女はいつもと変わらない。
俺の追及を避けようと、そう演じているだけなのかもしれないな。
「ああ。留守番頼む」
このまま玄関を出ようと思ったが、璃子を置いて行くのが不安になって、彼女の頭に手をやり抱き寄せた。
「匡?」
戸惑う彼女を強く抱き締めて、心の中で祈る。
大丈夫。俺が少し離れていても彼女は元気でいるはずだ。
神様、璃子を俺から奪わないでください。
俺の命を差し出したっていい。
彼女を守ってーー。
「行って来る。いい子にしてろよ」
チュッと璃子の髪にキスをすると、彼女の顔は真っ赤になる。
本当は唇にしたかったのだが、止められなくなりそうだったからやめた。
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