一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
『そして……璃子はお兄さんの家に居座って幸せに暮らしましたとさ。どうだ、俺の名作?璃子?……寝たのか?』
……それは駄作だよ。
そう思うが、もう声にならない。
『璃子?……寝た?』
そんな匡の声が微かに聞こえ、身体の力が抜けていく。
幸せな眠りに誘われ、記憶がそこでプチッと切れた。



「あっ、また私の玉子焼き!」
いつもの私達の食卓。
私の皿から玉子焼きを奪う匡をキッと睨みつける。
「だから、お前のものは俺のもの。親父がぎっくり腰で、俺に仕事が回ってきて超忙しいんだよ。俺をもっと労え」
何食わぬ顔で玉子焼きを頬張る彼。
確かにここ数日帰りも深夜で忙しそう。
家にいても彼と話すのは朝だけ。
夜はいつ帰って来ているのかわからない。
ただ、匡がベッドに入って寝ているのは確かで、彼の温もりを感じる。
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