一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「今日も帰り遅いの?」
箸を止めて聞けば、彼は曖昧に返した。
「そうだな。昨日と同じくらいかな?」
「大変そうだね」
私が同情するように相槌を打つと、彼はフッと笑った。
「まあ、年末だし仕方がない。ご馳走様」
皿を片付けようとする匡を慌てて止める。
「あっ、いいよ。私がやるから。長谷川さん、もう来るよ」
「それじゃあ頼む」
匡が席を立つと、ちょうど玄関のインターホンが鳴った。
「は~い!」
玄関に向かって大きく返事をして、自分も席を立ち、慣れた手つきで彼のネクタイを結ぶ。
「サンキュ」
とびきりの笑顔を私に向ける彼に「どういたしまして」と澄まし顔で言って、小走りに玄関へ行く。
「おはようございます」
長谷川さんがニコッとして私も「おはようございます!」とあたふたしながら挨拶を返すと、いつの間にか匡もコートとビジネスバッグを手にして玄関に来ていた。
< 235 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop