一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
……いや、それなら俺の家族がなにか相談してくるはずだ。
璃子は強情だから、なにか困ったことがあっても絶対に本当のことは言わないだろう。
彼女は誰にも弱みを見せない性格で、人前では泣かない。
彼女の両親が共働きだったせいかもしれない。
熱があっても両親には辛いと言わず、俺の前で倒れたことが何度かあった。
それでも『ちょっと転んだだけ』と俺に言い張る彼女の頬をつねって、『辛い時はちゃんと言え』と怒ったことがある。
だから、璃子は俺にだけ我儘を言うのかもしれない。
たいてい彼女が我儘を言うのは体調が悪いか、なにかで落ち込んだ時で、それは俺に言わせれば“助けて”という彼女のサインだ。
シャワーを浴び終えると、湯船に浸かってまた璃子のことを考えた。
多分、俺は追い出せずにあいつが出ていくまでうちにいさせるんだろうな。
俺もついつい璃子には甘くなる。
十分ほど湯船に浸かると、風呂から上がってリビングに戻った。
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