一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「八神君のお兄さんって……八神匡君?」
先生の口から匡の名前が出てきてビックリした。
「そうです。匡をご存知なんですか?」
「高校の時の後輩なんだ。彼は学校のスーパースターで一年の時から生徒会長をやってたけどね。バスケ部で一緒にプレーしたよ」
「へえ、世の中狭いですね」
先生の話に相槌を打ったら、彼は表情を曇らせた。
「でも、八神君のところにって……大丈夫なのかい?彼は学生時代から女遊びが凄いって……」
「先生、そろそろ講義始まるんじゃないですか?」
チラリと腕時計を見て話を逸らせば、先生は慌てて机の上の資料をかき集めて、一枚の紙を私に手渡した。
「あっ、そうだった。佐々木さん、図書館でヘミングウェイの資料集めておいてくれる?これリスト」
「了解です」
紙を受け取り少しおどけた様子で敬礼すると、久野先生は研究室を後にした。
私が匡の悪口を言うのはいいのだが、他人に言われるのは嫌だ。
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