一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
4,彼女との生活
「俺、温かい豚汁と熱々のご飯が食べたい」
スーパーの野菜売り場でボーッと突っ立っている璃子に背後から近づいて声をかける。
すると、彼女が俺の方を振り返り、大きく目を見開いた。
「た、匡!きゃっ!」
俺が現れてビックリしたのか、璃子の足がもつれて倒れそうになった。
「なによろけてんだよ、璃子。危なっかしいな」
慌てて支えたが、まだ彼女は放心状態。
普通ならポンポン言い返してくるのに、今日は反応が鈍かった。
いや、昨日会った時から明らかにおかしいのだが、いつも通り彼女に接する。
「ほら、しっかり立てよ。ところで、お前、なんでマスクしてるんだ?風邪引いてたっけ?」
璃子から手を離してマスクに目を向けたら、彼女は少し狼狽えた。
「あの……これはアレルギーで。ちょっと埃っぽいと喉をやられるから」
アレルギー……ね。
そんな話は初耳だけどな。
「た、匡はどうしてここにいるの?接待があるんじゃなかった?」
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