一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
ツッコミを入れる私を見て匡がニヤリ。
「お前の髪の毛、豚汁の匂いがする」
豚汁って……。
汗臭いって言われるよりはマシだけど、なんかお母さんみたい。
ショックを受ける私を楽し気に眺め、彼はポンと私の頭を叩く。
「早く浴びろよ。朝食食べたら出かける。一泊分の着替えを用意しとけ」
「え?出かけるってどこに?」
匡の言葉に驚いて聞き返したら、彼はフッと微笑した。
「それは内緒。親父がお前のために温泉宿予約したんだよ」
「おじさまが?」
「そう。お前、実の息子より親父に愛されてるな」
わ〜、おじさまに気を使わせちゃったな。
でも、匡とふたりで温泉に行くって初めて。
「おじさまに後でお礼言わなきゃ」
嬉しくてついつい笑顔になる私を彼は急かす。
「そんなことより早くシャワー浴びて、メシ」
「はいはい」
ニコニコ顔で返事をすると、素早くシャワーを浴びて朝ご飯の準備。
昨日の残りの豚汁と、サバの味噌煮に玉子焼き。
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