一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
匡は体育会系の男子みたいにお代わりして、二合あったご飯を食べ尽くした。
片付けをふたりで済ませると、マンションの地下の駐車場に行く。
時刻は午前十時十分。
匡の車は高級ドイツ車のセダンで、色は白。
匡は運転席に、私は助手席に乗ってシートベルトを締める。
革のシートで座り心地は最高だ。
「この車乗るのお正月以来だな。匡は車でデート行ったりしないの?」
カーナビの設定をする彼にそれとなく恋人がいないか探りを入れれば、彼は悩むことなく即答した。
「ないな。女とドライブ行くなら、ひとりの方が気楽。気を使う必要ないからな」
“女”という表現をするということは、特定の恋人は今いないのだろう。
「匡でも気を使うんだ?」
フフッと笑って匡をからかうと、彼はムスッとした顔をする。
「お前、俺をなんだと思ってる?」
「俺様な匡ちゃん」
匡をじっと見据えて弄れば、彼は軽く溜め息をついた。
「お前ねえ」
< 79 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop