一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「だって寝言で『長谷川、今日はフレックス』って言ってたよ。いろいろ無茶言って長谷川さんを困らせていない?」
理由を説明する私に、彼は悪びれた様子もなく言い返す。
「あれは俺がなにを言っても動じない」
「匡、自分の周囲にいる人は大事にしなきゃいけないよ。それに、自分の彼女だって大切にしなきゃ、一生独身よ」
チクリと言ってやったが、彼は開き直った。
「独身で結構」
「だったら、寂しい老後を過ごしてね」
そんな皮肉を口にすれば、匡は「好きにするさ」とサングラスをして車を発進させる。
道中もそんなやり取りを繰り返すが、段々眠くなってきて瞼が重くなった。
「璃子、シート倒して寝ろよ」
匡に優しく声をかけられ、「うん」と素直に座席を倒して目を閉じると、彼がジャケットをかけてくれた。
そのまま眠ってしまい、匡に身体を揺すられて目が覚める。
「……ん?もう着いたの?」
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