一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
彼が運転していると急ブレーキもないから、安心してつい寝てしまう。
「俺だからいいが、他の男の車に乗る時は注意しろよ」
保護者面で言う彼に向かってニコッと笑ってみせた。
「大丈夫。私しっかりしてるから」
うちの家族と匡の家族以外に送迎を頼んだことはない。
飲み会があってもお酒は控えている。
だが、匡は納得しない。
「自分で言うか。お前みたいなのが一番危険なんだよ」
テーブルに片肘をついて私をじっと見据える彼に眉間にシワを寄せて噛み付いた。
「どこが危険なのよ?」
「お前顔だけはいいからな。送っていくと言われても断れよ」
……これは一応褒められているのだろうか。
でも、私のことを心配しているのは確かだ。
「顔だけはいいって失礼ね。心も優しいわよ。天使みたいって同級生によく言われる」
表情を和らげてそう言い返したら、匡にスルーされた。
「お前なに食べる?」
メニューを見つめる彼に文句を言う。
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