一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
茶目っ気たっぷりに言えば、彼はわざとらしく溜め息をついて自分の肩を叩く。
「そう。俺、滅茶苦茶大変なんだよ。後で璃子に肩叩きでもしてもらおうかな」
「そこはお小遣いの額次第かな?」
「幼馴染から金取るのかよ……って、あっ忘れてた」
匡はズボンのポケットから財布を取り出し、カードを一枚抜いてテーブルの上に置く。
「これ、お前用のクレジットカード。食費や日用品買う時はこれ使え」
「え?そんなのいいのに」
クレジットカードなんて受け取れない。
匡に返そうとするも、強い口調で断られた。
「学生に俺の生活費を払わせるわけにはいかない。俺の家にいるならこれを使え」
……つまり私が彼の家にいる条件ってことか。
でも、彼の言い分も理解できる。
「じゃあ、生活費だけ使わせてもらうね」
クレジットカードをそのまま受け取って匡に見せると、彼はコクッと頷いた。
「ああ。まあ好きに使え」
< 84 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop