一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
彼はテーブルの上や冷蔵庫周辺を物色する。
ハラハラしているのは私だけ。
もう匡のバカ!
ジーッと彼を睨みつけていたら、匡がカップ麺を見つけて私に目を向けた。
「この状況だと出前は取れないし、カップ麺くらいしかないけど、醤油、味噌、塩味だったら、璃子はなににする?」
……確かにお腹が空いてきた。
「塩」
ボソッと答えると、彼は「俺は醤油にしよう」と言ってカップ麺にお湯を注ぐ。
「璃子、スマホで三分タイマーセットしろ」
「はーい」
小声で返事をしてスマホをセットした。
時刻は午後七時過ぎ。
匡が普段通りなのがなんだか腹立たしい。
イライラするのは自分に余裕がないせいだろうか。
そんなことを考えていたら、匡がテーブルに烏龍茶のペットボトルを置いた。
「喉渇かないか?飲めよ」
「……ありがと」
ペットボトルを手に取り、蓋を外して口に運ぶ。
彼はテーブルにカップ麺と割り箸を並べると、私の横に座って缶ビールを飲み始めた。
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