一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
私は烏龍茶で、匡はビール。
やっぱり子供扱い。
なんだか自分だけ緊張しているのがバカらしくなってきた。
彼に抱かれる心配はない。
多分一生、私は彼にとって妹なのだ。
苦い思いが胸に広がる。
スマホのアラームが鳴ると、黙々とカップ麺を食べる。
すると、匡はそんな私をじっと見据えて謝った。
「豪華な部屋食じゃなくてごめんな」
匡が悪い訳じゃない。
「ううん、匡のせいじゃない。私こそイライラしちゃってごめん」
彼だっておじさまに言われて半ば強制で伊豆まで私を連れて来たのだ。
「そう言えばさあ、お前の家族とキャンプ行った時、今日みたいにいきなり雨降ったことがあったな」
それは私が小学生の頃の出来事。
私が迷子になって、匡が探しにきてくれたのだけれど、雨に降られてふたりで大きな木の下で雨宿りしたのだ。
「雷が凄かったね」
今思うとあれも懐かしい思い出。
「お前って嵐を呼ぶ女かも。高校の修学旅行も雨降ったらしいじゃないか」
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