俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……ずいぶんと親密な関係の女性がいるのね……とても仲が良さそうで羨ましいわ」

そう言うと、私を見てにっこりとした。

でも、その目はけっして笑っていない。


「はじめまして、辺見(へんみ)千奈と申します。愁くんの元婚約者です」

「千奈さん!」

愁さんがひと際厳しい声を上げたが、辺見さんは気にした様子もない。


じっと私を見つめる目に、名乗るよう促されているのだと悟る。

腕の解放を視線で懇願するも、愁さんに無視されてしまい、諦めてそのままの体勢で口を開いた。


「……はじめまして。浦部沙和と申します」

「可愛らしい方ね。そうだわ、浦部さんもパーティーに是非出席してくださらない?」

無邪気に言われて戸惑う。

勝手な返事はできない。


「悪いけど、即答はできかねる。失礼するよ」

私が口を開くより早く、立ち上がった愁さんが腰に手を回したまま着替えに向かう。

「あの、失礼します」

咄嗟に挨拶を告げると、泣きだしそうな表情の辺見さんの姿が見えた。
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