俺の妻は本当に可愛い～恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています～
「……すまなかった。不愉快な思いをさせて」


着替え終えた私たちは、庭園から歩いて十分ほどの場所にあるカフェに入った。

打ちっぱなしのコンクリートの外壁が目立つお洒落な外観のカフェは、お昼が近いせいか、少し混雑していた。

真っ白な壁に真っ白な丸テーブルの四人掛けの席が十席ほど行儀よく並んでいる。

運よく空いていた窓際のテーブル席に腰をおろした途端、謝罪された。


「いえ、あの気にしないでください。というか、謝っていただく必要はないです」

「いや、もとはと言えば俺の責任でもあるから」

つらそうに目を伏せる愁さんに小さくかぶりを振る。


なんの責任なのだろうか。


テーブルに置かれた小さな花瓶には鮮やかなオレンジのガーベラが一輪活けてあった。

その太陽のような花を見つめながら、意を決して口を開く。


「……あの方は婚約者なんですよね？」

「元、な」

軽く眉をひそめて訂正される。


脳裏に由真ちゃんが見せてくれた記事が浮かぶ。

その内容について部外者の私が尋ねてよいのかどうか、逡巡する。

この人を傷つけたり不快な思いはさせたくないという気持ちが強く込み上げてくる。
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