俺の妻は本当に可愛い～恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています～
それはどういう意味？　どうしてそんな苦しそうな表情をするの？　あなたの気持ちは恋愛感情じゃないでしょう？


「失恋したばかりの弱みにつけ込んだと思われてもいい。でも少しでもチャンスがあるならそれを利用したい。俺は沙和が欲しい。俺だけのものにしたい」

突然の申し出に声が出ない。

胸の中がカッと熱くなる。


「付き合う意味がわからないって言っていたのに、どうして婚約なんて私に言うの？　……同情？」

声が震える。

なんでこの話の流れでそんな申し込みをされるのかわからない。

今まで丁寧に取り繕ってきた敬語が、崩れ落ちていく。


辺見さんに未練は、想いは本当に残っていないの？


喉元まで込み上げた気持ちは口にできない。


「同情なんかじゃない。付き合う意味が沙和に出会ってやっとわかったから言ってる」

「……私にはわかりません」

本当にこの人の考えが理解できない。


そもそも『付き合う意味』とはなんなのだろうか。

そんなものは知らないし、考えたことはない。


「わからなくていい、今は。でも誓っていうが同情じゃない。本気だって何度も言っただろ？」

切なさを含んだ漆黒の目が私を見つめる。

なだめるように、震える私の手に大きな自身の手を重ねた。
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