俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
案内された場所はこれまた豪奢な試着室だった。


そして突然の着せ替えの嵐が巻き起こる。

うろたえる私の気持ちはそのままに、数人の女性店員が何枚ものドレスをあてがってくれる。


「あ、あの、これって……」

着替えの合間に尋ねると、堤チーフがにっこりと眦を下げる。

「板谷様からドレス、普段着の服、靴一式揃えるようにと言われております。どうぞお任せください」


「この色のほうがお似合いになりますね、靴はこれでいかがでしょう」

「もう少し着丈が短いものがいいわ……あちらにしましょう」

何回も試着を繰り返し、そのうえ別室でヘアメイクまで施された私は、女性店員たちに押し出されるようにして彼の前に立った。


上品な光沢のあるロイヤルブルーのドレス。

胸の下で切り替えられ、ゴールドの透かしが入ったふわりと広がるスカート。

ゴールドに少しブルーの入った華奢なサンダル。

繊細な生地は信じられないくらい軽く、肌触りがいい。


上品に巻かれた髪と緻密に施されたメイク姿は自分ではないようだ。

こんなに着飾った経験はないし、絶対に浮いている。
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