俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
あっという間に週末がやってきた。


今日まで愁さんには会っていないが、相変わらず毎日の自身の予定や、私について尋ねるメッセージを何度も送ってくれている。

その文面はいつも温かく、心が自然と揺れ動く。


パーティー当日は彼が自宅まで迎えに来てくれる予定だ。

あの日のドレスは、細かい調整もかねて店側が預かってくれている。

しかも当日のすべての準備をそこでしてくれるというから驚きだ。

あり得ない待遇に腰が引けて、何度もメッセージで辞退したけれど、聞く耳を持ってはくれなかった。


「まあ、本当にお綺麗ですね!」

堤チーフの親切な対応に緊張が少しほぐれる。

前回の試着とセットで施していただいたヘアメイクは完成形ではなく、今回はさらに複雑に編み込まれた髪形に丁寧なメイクが施されていた。


「あ、ありがとうございます……」

絶対に一度崩したら、この髪形と化粧は自分では復元できない。

「さあ、板谷様のところに参りましょう。きっと首を長くしてお待ちですから」

堤さんは快活にそう言って、愁さんの待つ場所に案内してくれた。


愁さんは私の姿に一瞬目を瞠って、眩しそうに綺麗な目を細めた。

「この間も思ったけれど、とてもよく似合っている。……人前に出したくないな」

私の手を握って見つめる視線は甘く、伝わる熱に彼を直視できない。


仕立てのよい、濃紺の細いストライプ柄のスーツを身に着けた愁さんは普段よりもずっと輝いていて、立派な体躯をさらに魅力的に見せている。

完璧な装いに言葉が出ない。


本当にどれだけ私の心を乱せば気が済むんだろう。
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