俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「――浦部さん?」


突然、声をかけられた。

すぐそばに、シックな黒のドレスを着た長身の女性をエスコートする濱田課長が立っていた。


「課長……!」

「よかった、やっぱり浦部さんだった。普段の様子とは違うから、人違いかと思ったんだよ。そのドレスすごくよく似合っているね」

「あ、ありがとうございます……あの、お隣の方はもしかして……」

「ああ、紹介するよ。妻の萌絵(もえ)。東京営業部で勤務しているんだ」

「は、初めまして。浦部です」

「こちらこそ、よろしくね。浦部さんの話はこの人からよく聞いていて、一度お会いしたかったの。今日はお話しできて嬉しいわ。本当に可愛らしい方ね」

そう言って、萌絵さんは傍らの課長を見上げる。

「ああ」

にこやかに同意する課長の姿に恥ずかしさと緊張も入り混じり、ドキドキしてしまう。


「……私の婚約者を褒めてくださり、ありがとうございます」

不意に腰のあたりに大きな手が触れた。グイッと身体を引き寄せられる。


「し、愁さん」

「板谷社長、いつもお世話になっております」

課長夫妻が揃って彼に挨拶をする。

「いえ、こちらこそ。沙和を指導していただいていたそうですね」

「はい。彼女はとても真面目で、任せた仕事をしっかり最後までやり遂げる努力家なんですよ」

「ええ、よく知っています。そして、とても繊細なんです。失恋してやけ酒をするくらい。なのでいつも目が離せないんです」

そう言って愁さんは私を誘惑するような甘い目で見つめる。
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