俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「え……?」


そんな理由で? まさかそれって……。


「気をつけろよ? 俺はお前に関しては嫉妬心が強いから」


ふわりと形のよい唇を綻ばせて、耳元で囁く婚約者。

その色香のこもった声に心が落ち着かなくなる。


以前、すずが『牽制かしら』と呟いていたのを思い出す。


あの時は意味がわからなかったけど、まさか本当に?


「お前は俺のものだって見せつけたかったんだ」

「――社長。婚約者を心配されるお気持ちはわかりますが、ほかの方にもご挨拶を」

どんな時も冷静な津田さんが冷静に声をかける。


浮足立っていた心が現実に引き戻される。

さすがは有能な秘書。

声をかけるタイミングを間違えない。


「……お前は俺と沙和を引き離したいのか?」

面白くなさそうに呟きつつも、愁さんは抱いたままだった私の腰から手を離す。

「すぐ戻る」

私のこめかみに小さなキスをして、彼は人込みに向かっていった。


「社長はご自分の婚約者が大切で仕方ないようなので。浦部様、申し訳ございませんがお付き合いください」

いつものように淡々と口にする津田さんに頷くしかなかった。
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