俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「ねえ、あの方、板谷社長では? 先ほどからエスコートされている女性はどなたかしら? 初めてお会いするわ」

「あの色のドレスごらんになった? まさか板谷社長がとうとう?」

「まあ、これは大変なニュースね!」

「そういえば、結婚式の前撮りらしきものをされていたって風の噂で聞きましたわ」

人の輪から少し離れた私の背後からチラホラと漏れ聞こえてくる、興味津々な声。


ドレスの色?


「あの、津田さん、このドレスの色って……」

気になって津田さんに話しかけようとした時、目の前にふわりとシャンパンゴールドの華麗なドレスを纏った綺麗な女性が現れた。


「ごきげんよう。本日はご出席くださってありがとうございます」

完璧な笑みと優雅な所作で辺見さんに話しかけられた。

少し離れた場所にいる愁さんの姿はここからでははっきりと見えない。


まさかこのタイミングを見計らった? 


意地の悪い考えが一瞬浮かんでしまい、慌てて取り消す。


私、今なにを考えたの?


「……本日はお招きいただき、ありがとうございます」

できるだけ失礼にならないように気をつけて挨拶を述べる。

柔らかい表情を浮かべていた辺見さんだったが、私のドレスを一瞥した途端、表情が歪み、不快さを露わにした。
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