俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「立花さんのビジネスは順調なようだね。カフェの成功を祈っているよ」

優美に口元を綻ばせているけれど、その目は驚くほど冷ややかだ。


「……どうして浦部さんがこのドレスを着ているの?」

「沙和のドレスは私が選びました。たったひとりの大事な人なので」

「そんな、ありえない! だって私はっ……」

「辺見様、立花様がお捜しになっているようですよ」

そつのない津田さんが冷静に言葉を遮る。


途端に先ほどの感情の高ぶりが嘘のように、怯えた様子で周囲をキョロキョロと見回す。

彼女の婚約者は厳しい表情を浮かべて、こちらに向かってきていた。


「……失礼します」

婚約者の元へ一歩足を踏み出した辺見さんが、私の耳元に小さく囁いた。


「絶対にこんな話は認めないわ……!」

イラ立ちのこもった声が胸に刺さる。

最初に会った時から感じていた違和感の理由がやっとわかった。


この人は今も愁さんに想いを残している。

でもそれならばなぜ、ほかの人と婚約したのだろう。

それほど愁さんを好きだったのならどうして。


思わず振り返る私に、傍らから優しい声がかけられた。

「大丈夫、気にするな」

「でも……っ」

「いいから、沙和が知る必要のない話だ」


知る必要はないって、なんで? 私はあなたの婚約者なのでしょう?
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