俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
7.「俺の限界を試してる?」
あのパーティーの日から愁さんを徹底的に避けた。


スマートフォンに届くメッセージは読まず、かかってきた電話にも出なかった。

子どもじみているとはわかっているが、自分の心を守る方法をそれしか思いつかなかった。


気づいたばかりの恋心はまだそれほど大きくないし、傷だって浅い。

今ならまだ見過ごせるし、自分の中で完結してしまい込める。


愁さんについて考えそうになるたびにそうやって何度も言い聞かせた。

部屋の中に置いてある、彼を彷彿とさせるものや贈られたものはすべてひと纏めにして、目につきにくい場所に保管してある。

気持ちが少し落ち着いたらすべてを返そうと決意した。

元々分不相応だったのだ。
 

庭園に行くのもやめた。

とても大事で大好きな場所だけれど、想い出がありすぎて足を向けようとすると胸が痛くなってしまう。


頼子さんにも会いづらくて、ヨガ教室は休みがちになっていた。

何度か心配されて電話ももらっていたので、仕事が忙しい、ともっともらしい理由をつけて誤魔化し続けている。


後ろ向きな自分が嫌だった。

間違っていると思いつつも、そうする以外、どうにもできなかった。


愁さんに関係するすべてを遮断しないと、すぐにその想いに捉われて諦めきれなくなりそうで怖い。
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