俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
そのうちに私の力が抜けたのがわかったのか、荒々しさが消え、ゆっくりと話しかけるように穏やかなキスが重ねられる。

軽く下唇を食まれ、やっと解放された時には思わず肩を上げて息を大きく吸ってしまう。


それでも身体は解放されず、腕は腰に回ったままだ。

至近距離から真剣な目で見つめられる。


ドクドク鳴り響く鼓動がうるさくて痛くて、足に力が入らない。

思わずはあ、と大きく息を吐いた私の首筋に長い指が触れて肩がピクリと無意識に跳ねる。


「……沙和は俺のものだ」


首筋に唇で触れながら呟かれる。

心臓が壊れそうなくらい大きな音をたて、その低い声になぜか恐れを感じた。

頭を上げ、睨みつける綺麗な目が鋭すぎて視線を逸らせない。


「なにを、言って……」

絞り出した声は情けないほど震えていた。


「絶対に放さない。あの日からずっと手に入れるって決めていた」


威圧感さえ漂う声で物騒な言葉が紡がれ、信じられずに瞬きを繰り返す。

ひゅっと私の喉が音をたてた。


「……どうして俺を避ける? ずっと電話にも出ないしメッセージも返事がない。俺が今までどんな気持ちでいたと思う?」

逃げたいのに逃げ場がない。

話したくないのに、答えたくないのに選択肢がどんどん奪われていく。


これ以上傷をえぐらないでほしいのに。
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