俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
それから数日が過ぎ、今日は月に一度の早帰りの日だった。


愁さんは、昨日から上海に出張している。

ホテルで話し合った日以来、以前のように変わらず毎日連絡をくれる。

私を二度と不安にさせないように気遣ってくれているのだとわかる。


辺見さんについては、あれ以来話を聞いていない。

けれどなにかあったらきっと教えてくれるだろうと思っている。

今は以前ほどの不安はなく、ただ大好きな人を信じたい気持ちでいっぱいだ。


今日はすずとヨガ教室に向かうつもりだ。

久しぶりに頼子さんに会えるのが嬉しい。

頼子さんとすずには心配をかけてしまった件を詫びて、愁さんとの仲を応援してもらったお礼を改めて伝えていた。


仕事を終えて、親友との待ち合わせ場所である会社の入り口に向かう。

周囲では、仕事を終えた同僚たちが明るい声をあげながら歩いている。

ふたりで駅に向かって歩きだした時、声をかけられた。


「……浦部さん?」

聞き覚えのある声に振り返ると、辺見さんが立っていた。


淡いブルーを重ねた色合いのワンピースに白のノーカラージャケットを着ている。

仕事帰りの暗い色のスーツを身に着けた会社員が多い中で、その姿はとても目立っていた。


「ふたりきりでお話をしたいのですが、お時間をいただけませんか」

前回会った時とは少し違う、強張った表情にほんの少し警戒心が湧き上がる。
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