俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「……心配にはなったけれど、きっといつかは話してくれるって信じていたの」

これは本心だ。

湧き上がる不安に負けそうになった時や辺見さんに呼び出された時もその想いは揺るがなかった。


「……ありがとう。惚れ直した」

照れもせずに恥ずかしいセリフを告げられて返答に窮する。


「そ、そういえばどうしてここに来てくれたの? 帰国は明日だったんじゃ……」

「沙和に会いたかったし、あのふたりの状況も気になったから予定を前倒しにして帰国を早めたんだ。こっちに向かう途中で姉貴から連絡が入って、慌てて駆けつけたんだ。怖い思いをさせてごめん」

優しく言って私の肩をそっと引き寄せる。

美麗な容貌には悲しみと心配の入り混じった表情が浮かんでいた。


「……辺見さんの訪問は確かに戸惑って緊張したけれど……でもそれは愁さんのせいではないでしょう?」

「そうかもしれないが、千奈さんの状況を知っていたわけだから」

「今回の件は予測不可能だし、被害もなにもなかったんだから。立花さんと辺見さんがきちんと話し合ってわかりあえるように願っている」

真っ直ぐに愁さんの目を見つめ返して言うと、ふっと表情を和らげる。


「沙和は強いな」

「……強くなんて……きっと以前の私だったらそんな風には考えられなかった」
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