俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
現在午前七時過ぎ。

土曜日の早朝に申し訳ないと思いつつも電話すると、すぐに頼子さんが出た。


『沙和ちゃんっ、大丈夫!?』

「お、おはようございます。あの、昨夜は何度もお電話いただいていたのにすみません……」

『そんなのはいいのよ! 無事なの? 怪我をしたりしていない?』

「ええと、はい」


ハーッと大きく息を吐く声が機械越しに伝わってくる。


『よかった……連絡がとれないし、なにかあったのかと気が気じゃなかったのよ』

心配の滲む声に申し訳なさでいっぱいになる。

「ご心配をおかけして本当にすみませんでした」

『無事ならいいのよ。それにしても昨夜はどうしてたの? 真っ直ぐ帰ったの? あの庭園付近は治安も悪くないし、門扉の施錠もできるとはいえ、夜はなにかと物騒なんだから。今後はひとりで過ごしてはダメよ』

「は、はい」


……本当はひとりではなかったのだけど。

どうしよう、あの男性について頼子さんに尋ねてみるべきだろうか? 

でもあの場所にいるのを、もし知られたくなかったとしたら?
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