俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「もちろん私もこんなに可愛い義妹ができてとても嬉しいのよ。だから早くお嫁にきてね。愁なんて絶対に沙和ちゃんを手放してはダメだと、事あるごとにお母さんに言われてるんだから」

「あ、ありがとうございます」

完全に買いかぶりすぎだと思うが、そんな風に受け入れていただけた現状をとても幸せに思う。

恥ずかしさを隠すように頭を下げると、フフッと頼子さんが優しく声を漏らす。


「そのピアスを見る限り、愁の本気がよくわかるのだけど」

楽しげに言われて耳がカッと熱くなる。


私の両耳朶には星をかたどった、小ぶりなピアスが光っている。

真ん中にはブルーサファイアがはめ込まれ、とても上品な仕上がりになっている。


同棲初日に前触れもなく手渡された時は、ひと目見て高価とわかる品に狼狽した。

贈ってくれたのはもちろん愁さんだ。

初めて庭園でのデートで話した一件をずっと覚えていてくれたのかと胸の奥が熱くなった。


『本当はこの指を飾る婚約指輪を贈りたいけれど、それはまたきちんと段階を踏んで、一緒に選びたいから。今はとりあえず俺の気持ちを表したものを贈らせて』

私の左手薬指に口づけて、真摯な声で告げられた。

嬉しくて泣きたくなる気持ちが込み上げる反面、高価すぎる贈り物に困り果ててしまったのは懐かしい思い出だ。
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