俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
今日は梅雨の時期には珍しい晴天だったため、星が見えている。

満月に近い頃なので、街灯と月明かりに照らされた姿は神秘的にさえ見えた。

間違いなく知り合いではない。

こんな外見の知人がいたら忘れるはずがない。

それにしてもこの人は一般的な不審者や泥棒のカテゴリーにはあてはまらない気がする。


「う……」

男性が発した小さな呻き声。

その低く、苦しそうな声にハッとする。


ぼうっと見つめている場合じゃない。

この人は具合が悪いのかもしれない。


顔色が少し悪い……? 

もしかしたらなにか大変な出来事があってここに入り込んだ? 

だとしたらどうしよう? 警察? でも体調が悪いなら救急車?

 
バッグからスマートフォンを取り出して上着のポケットに入れる。

おろおろしながら、男性の顔を覗き込む。

眉間に深い皺が寄せられている。


もしかしてどこか痛いのだろうか……?


「あ、あの……大丈夫ですか?」

思わず右手を伸ばしかけた時、グイッと手が強引に引っ張られた。

「きゃっ……!」
 
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