俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「東京営業部の後輩が話していたのを、たまたま聞いただけ。だから詳細はわからないの。あくまでも噂よ。それより今日、ヨガ教室行く? 頼子さんも来るって言ってたよ」

「頼子さんも? うん……行く」

暗い気持ちが少し明るいものに変化する。


私は月に二回ほど、東京駅すぐそばのデパート内にあるヨガ教室に通っている。

すずに誘われて通い始めたのだが、日頃の運動不足もあり、いい気分転換になっている。


田所(たどころ)頼子さんはその教室で知り合った女性だ。

私より七歳年上、切れ長の二重が印象的な美人で丸の内に勤務先があるという。

四歳の女の子のママとは思えないほどエネルギッシュで素敵な人だ。

教室に参加する日は、娘さんを旦那様が見てくださっているそうだ。

息抜きになるの、と朗らかに話してくれた。


定時で仕事を終え、会社の前で待ち合わせていたすずと合流し教室に向かう。

慌ただしく更衣室で着替えると、教室内にはすでに数人の生徒がいた。


「すずちゃん、沙和ちゃん!」

屈託のない笑顔で、頼子さんが手を挙げて声をかけてくれた。

期初は仕事が立て込み、なかなか受講できなかったので、頼子さんに会うのは久しぶりだ。

ヨガマットをすぐそばに敷いて、他愛のない話に花を咲かせる。

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