俺の妻は本当に可愛い～恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています～

……実家？ 持ち物？


思わず目を見開くと、頼子さんがフフッと楽しそうに口角を上げる。

座りましょうか、と促され管理人室近くにあるベンチに腰をおろした。


「沙和ちゃんは、ここを板谷が所有しているって知ってるわよね？」

確認されて、戸惑いながら頷く。

城崎さんに所有者については内密にとは言われていたけれど、頼子さんは血縁関係者なのだから問題はないだろう。


「私の旧姓は板谷で、板谷ホールディングスは実家の会社なのよ」

あっけらかんと話されて、言葉が出ない。


板谷ホールディングスのご息女……！


思わず息を呑んだ。

営業部長でさえなかなか会えない創業者一族と対面している現実に驚く。


「城崎さんから時々沙和ちゃんの話は聞いていたの。ここを大事に思って雑草抜きや枯葉の掃除とか細々した作業も手伝ってくれていたんでしょ？　城崎さんがすごく感謝していたわ。私からもお礼を言わせてね、本当にありがとう」

突然のお礼に驚くと同時に恥ずかしくなる。

城崎さんの気持ちが嬉しかった。