俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
受話器を置いた途端、左隣の席に座る後輩の内藤由真ちゃんが興味深そうに尋ねてきた。
「沙和さん、どなたとデートですか? 以前仰っていた片想いの男性ですか?」
二十五歳の由真ちゃんは、明るめの茶色い巻き髪にエクステを施した長いまつ毛が人目を引く。
噂話が大好きなのが玉に瑕だが、勤務態度は真面目な可愛い後輩だ。
「……もうその人は望みがないから、諦めたの」
勤務時間中だし、情けない片想いの話は社内でしたくない。
相手が露見してしまうのも困る。
「えっ、じゃあ新しい恋人ですか?」
簡潔に切り上げるつもりが、さらに鋭く尋ねられた。
「ち、違う、恋人とかじゃないから」
あんな本心のつかめない男性なんてとんでもない。
なにより雲の上の存在過ぎてそんな想像すらできない。
どこか有名大企業のご令嬢といった、庇護欲をそそられるようなおとなしい女性があの人にはきっとお似合いだ。
「新しい恋人とのデート、羨ましいです。また話を聞かせてくださいね」
違うと否定しているのに、切り替えの早い後輩はかかってきた問い合わせの電話に対応しだす。
重い溜め息をついて、パソコンの画面に向き合う。
誤解は昼休みにでももう一度しっかりといておこう、と肝に銘じて。
「沙和さん、どなたとデートですか? 以前仰っていた片想いの男性ですか?」
二十五歳の由真ちゃんは、明るめの茶色い巻き髪にエクステを施した長いまつ毛が人目を引く。
噂話が大好きなのが玉に瑕だが、勤務態度は真面目な可愛い後輩だ。
「……もうその人は望みがないから、諦めたの」
勤務時間中だし、情けない片想いの話は社内でしたくない。
相手が露見してしまうのも困る。
「えっ、じゃあ新しい恋人ですか?」
簡潔に切り上げるつもりが、さらに鋭く尋ねられた。
「ち、違う、恋人とかじゃないから」
あんな本心のつかめない男性なんてとんでもない。
なにより雲の上の存在過ぎてそんな想像すらできない。
どこか有名大企業のご令嬢といった、庇護欲をそそられるようなおとなしい女性があの人にはきっとお似合いだ。
「新しい恋人とのデート、羨ましいです。また話を聞かせてくださいね」
違うと否定しているのに、切り替えの早い後輩はかかってきた問い合わせの電話に対応しだす。
重い溜め息をついて、パソコンの画面に向き合う。
誤解は昼休みにでももう一度しっかりといておこう、と肝に銘じて。