俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「どうして……」
「失礼します、日高です」
突然、後輩の明るい声が応接室に響いた。
なぜここに、という疑問よりも一刻も早くこの人から離れなければと慌てる。
急いで足を動かしたつもりが、もつれてしまう。
「慌てたら転ぶ」
私とは対照的に落ち着いている板谷社長がすかさず長い腕を伸ばし、抱きとめてくれた。
ふわりと漂う爽やかな香りとがっしりとした腕の感触が体温をさらに上昇させる。
転ばなかったのはありがたいが、この体勢は大いに困る。
室内に姿を現した後輩は抱き合っている私たちを見て絶句していた。
「……板谷社長、無理強いじゃないですよね?」
由真ちゃんが怖いくらいに冷静な声で問う。
取引先の社長にはっきり意見する、その度胸が素晴らしすぎる。
「ち、違うの、私が転びそうになって……」
説明をしかけたその時、柔らかく表情を崩した板谷社長が口を開き、私の肩をぐっと引き寄せた。
いたずらっ子のように楽しげな目を後輩に向ける。
「日高さんと仰いましたか? 申し訳ありませんがこの件は内密にしておいてくれませんか?」
「どういう意味ですか?」
「浦部さんに、今やっと私の気持ちを受け入れていただいたんです。お互いの想いを誤解していたみたいで……彼女に正式な婚約者になってもらったところです」
「失礼します、日高です」
突然、後輩の明るい声が応接室に響いた。
なぜここに、という疑問よりも一刻も早くこの人から離れなければと慌てる。
急いで足を動かしたつもりが、もつれてしまう。
「慌てたら転ぶ」
私とは対照的に落ち着いている板谷社長がすかさず長い腕を伸ばし、抱きとめてくれた。
ふわりと漂う爽やかな香りとがっしりとした腕の感触が体温をさらに上昇させる。
転ばなかったのはありがたいが、この体勢は大いに困る。
室内に姿を現した後輩は抱き合っている私たちを見て絶句していた。
「……板谷社長、無理強いじゃないですよね?」
由真ちゃんが怖いくらいに冷静な声で問う。
取引先の社長にはっきり意見する、その度胸が素晴らしすぎる。
「ち、違うの、私が転びそうになって……」
説明をしかけたその時、柔らかく表情を崩した板谷社長が口を開き、私の肩をぐっと引き寄せた。
いたずらっ子のように楽しげな目を後輩に向ける。
「日高さんと仰いましたか? 申し訳ありませんがこの件は内密にしておいてくれませんか?」
「どういう意味ですか?」
「浦部さんに、今やっと私の気持ちを受け入れていただいたんです。お互いの想いを誤解していたみたいで……彼女に正式な婚約者になってもらったところです」