俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「婚約者だろ?」

熱をはらんだ強い眼差しに小さく言い返す。

「……まだ了承していません」

「強情」

クックッと面白そうに声を漏らす。

そんなところも可愛いな、と言われて羞恥で頬が火照る。


「ところで今日会った時から思ってたんだが、歩き方おかしくないか?」

「……え?」

「足、痛めてるのか?」

そう言って、社長は黒のストレートパンツに包まれた私の足に視線を移す。


「いえ、あの、ちょっと靴擦れがひどくて」

「靴擦れ? 大丈夫なのか?」

きゅっと眉間に皺を寄せ、心配そうな目を向ける。

同時に腕を引いてソファに座らされた。


「大丈夫です、一時期に比べたらずいぶんよくなっているので」

「足に合わない靴を無理やり履くなよ」

「……そうですね」

でも履かないと慣れないんですけどと言うと、そもそもそんな靴を選ぶなと苦言を呈されてしまった。

反論の余地がない。


「ピアスの前に靴を贈るべきだな」

「いえ、まったく必要ありませんから」


なにを言い出すの、この人は!


「相変わらず即答だな。じゃあ靴を脱いで傷口見せて」

クスクス声を漏らしながら、とんでもない発言をする。
< 99 / 227 >

この作品をシェア

pagetop