さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
⚖️ Chapter 4
TOMITAホールディングスから急いで事務所に戻ったわたしは、無事プレゼンが終わりホッと一息といきたいところだったが、そんな悠長なことは言っていられない。
早速、取り掛からねばならない仕事に着手していた。
正直言って、わたしの許容範囲ではこの案件だけでも手いっぱいだというのに、そのうえ畑違いのIT案件まで引き受ける羽目になれば……
——あぁ、考えたくない……
しかも、頼りにしている事務職員の向井は、ニューカマーの千葉先生に「貸出中」なのだ。
とにかく入社二〜三年目の子たちに割り振って、なんとか急場を凌ごうと思っていたのだが……
——いや、マジでここ、法律事務所のくせにブラック企業だし。過労死できる自信あるし。
そのとき、コンコンコン…とノックの音がした。
「はーい、どうぞー」
わたしはMacBook Airから目を離さずに答えた。