一樹君の恋人は天使なんです
少しして、樹利亜と悠里が戻ってきた。
「よかった、喜んでもらえて」
「有難うございます、とても素敵です」
悠里は首にかけているネックレスに触れて、お礼を言った。
「一樹が結婚する人を連れてきたら、プレゼントしようと決めていたの。そろそろ、連れてきてくれるって信じていたから。用意していて良かった」
悠里の首には、綺麗なダイヤのネックレスがつけられている。
小さなダイヤだが、とても輝いていて悠里にピッタリである。
「一樹、貴方は最高の幸せ者ね。養子に行っても、いつでも来てね。ここは、貴方の家だもの」
「はい…」
なんとなく素直に答えた一樹。
そんな一樹を見て、樹利亜はホッとした。
長年、一樹は夏樹に遠慮して、忍と樹利亜に素直になれなかった。
夏樹は小さな頃は病弱で、手がかかっていた。
そんな夏樹を一樹は守らなくてはならないと、思って頑張っていた。
その為ちょっと荒っぽくなってしまい、よく喧嘩もしていた。
忍にも口答えをした、取っ組み合いの喧嘩もしていた。
大学にはいると殆ど家に寄り付かなくなり、留学も勝手に決めてしまい、帰国しても1人暮らしを選びずっと、忍と樹利亜と距離を置いていた。
だが…。
悠里を連れてきたことで、長年の壁が取れやっと素直になれた一樹。
前よりずっと優しい表情になっていた。