一樹君の恋人は天使なんです
1年後…。
末森家に元気な赤ちゃんの泣き声が響いている。
「はいはい、ちょっと待ってね」
悠里がキッチンから急ぎ足でリビングに来て、ベビーバウンザーに寝ている赤ちゃんを抱き上げた。
この赤ちゃんは3ヶ月前に産まれた、一樹と悠里の子供。
男の子で名前を悠一(ゆういち)と言う。
元気で産まれた時は4000gあったくらいで、大きめの赤ちゃんである。
おむつを替えて、母乳を呑んでも足らないくらいでミルクも併用している。
一樹にも悠里にも似ている、とっても美形な男の子である。
末森家に男の子が誕生して、昭三も大喜び。
忍と樹利亜はとっても悠一がお気に入りで、毎日写真を送ってほしいと一樹に頼んでいる。
一樹は相変わらず忙しい日々だが、育児には協力的で帰って来ると悠一の世話をしてくれて悠里も随分助かっている。
「ただいま」
一樹が仕事からから帰ってきた。
前よりずっと優しい表情になり、パパの顔になった一樹。
事務所では「パパ」と言われて親しまれている。
「悠一、ただいま」
ベビーバウンザーにたい悠一をだっこして、嬉しそうな一樹。
「ん? 悠一、また大きくなったなぁ」
「ええ、3ヶ月検診で体重が増えて身長も伸びていたわ。他の赤ちゃんより大きいって言われたわよ」
「そっか、でも元気だから心配ないな」