一樹君の恋人は天使なんです
「お前に誤解されたままでは、俺は辛いから。ちゃんと伝えたくて…」
この人、見かけによらず純情なんだ。
どっちがどうなのかは、はっきりわからないけど。
とりあえず考えないようにすればいいのだろう。
「判りました。もう、気にしませんので」
「本当か? 」
「はい。自分は、仕事をするために来ているので」
「そうか」
こわばっていた一樹の表情が、すっと和らいだ。
「悪かったな、嫌な思いをさせて」
「いえ、自分は平気です。あの時、物音がして資料室に入ってしまっただけなので」
「そうだったのか」
「はい」
安心した顔で一樹は珈琲を飲み始めた。
とりあえず誤解が解けたようで。
悠も特に気にしないように仕事をしていた。