一樹君の恋人は天使なんです

 スースーと心地よい一樹の寝息が聞こえて、なんとなく悠は嬉しさを感じた。


 そっと一樹の寝顔を覗き込み、ツンと頬に触れて見た。

 プニッっとして無防備な一樹を見ると可愛くて、悠は満面の笑みを浮かべた。

 
 寝顔も綺麗に整っている一樹。

 普段は強い口調で俺様的で、イカツイ感じがする一樹だが、寝ている顔はとても可愛くて。

 ちょっと悪戯したくなるくらいだ。


「ちょっとだけなら…いいよね? 」

 小さく呟いた悠は、ゆっくりと一樹に顔を近づけていった…。


 
 唇が触れる寸前。


 グイッと、力強い手で押さえられそのまま一樹と唇が重なった悠。


 驚いた悠だが、ギュッと強い力で抱きしめられ動けなくなった。


 軽く触れた唇が激しく吸い上げられてゆくのを感じ、悠はギュッと一樹の腕にしがみついた。



 離れようとする唇を逃がさないとばかりに、一樹の唇が追いかけて吸い上げて来る…。


 スルっと口の中に入って来る一樹…。


「ん…」

 声をも出せなくらい、悠は口の中を一樹に犯されてしまった…。



 
 そのままベッドに押し倒されて…。


 悠はそっと顔を背けた。


「…ごめん。…やりすぎた…」

 申し訳なさそうに、一樹が謝ってきた。

「お前があんまり可愛くて、ずっと隣に寝ているのが…気になって…」

「…別に、謝らなくていいですよ…」


 目を開けて、悠はゆっくりと一樹を見た。

 
 目と目が合うと、一樹は驚いた。


 眼鏡を外した悠の瞳が…とても綺麗な紫色の瞳で、息を呑むくらいだった。

 
 驚いている一樹を見て、悠はフッと笑った。


「…気持ち悪いって思っているんですよね? 」

「え? 何が? 」

「目の色…気づいたんでしょう? 」

「ああ、綺麗すぎて見惚れていただけだけど…」

「無理しなくていいですよ。…別に、なれていますから…」

「何を言っているんだ。こんな綺麗な目をしているのに、誰がそんなこと言ったんだ? 」

「別に…」

 フイッと目を反らした悠…。

< 27 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop