一樹君の恋人は天使なんです
「あのさ…聞きたいのだが…」
「聞きたいことは解ります…」
ギュッと目をつむって、悠はシャツのボタンを外して行く…。
シャツのボタンが外れると。
シャツの下には可愛い女性の下着を身に着けている悠の姿が映った。
そして、下着の上からさらしが巻いてあり、胸の膨らみを隠していた。
意を決して、悠はさらしに手をかけた。
さらしを取ろうとした時…。
「もういい、分かったから」
そっと、一樹の手が悠の手を止めた。
「…なんとなくだが、気づいていた。お前、男にしては綺麗すぎるから」
そっと、悠を解放して、一樹はベットの端に腰かけた。
そして悠の胸元まで布団をかけた。
複雑そうな顔をして、悠は視線を反らしている。
「まいったな…。俺の気持ち、抑えきれなくなっちまった…」
え?
悠はゆっくりと一樹を見た。
「…こんな気持ち、ずっと怖くて逃げてたんだ。でも、お前が事務所に来てから。ずっとモヤモヤしてた。京香の事も、お前にだけは誤解されたくないし、あんな場所で見られたくないって思っていたから。すぐに誤解を解きたかったんだ」
一息ついて、一樹はそっと悠を見つめた。
目と目が合うと、悠はそっと視線を反らした。
「正直、お前が女性でホッとしている」
「…男装している女なんて、気持ち悪いだけですよ」
「お前なぁ。もっと素直になれよ。さっきは、素直だったじゃねぇか」
さっきって…。
悠は赤くなった。
無防備な一樹の寝顔を見て、つい、ちょっとだけならって思ってしまった。
でも近づいたら、逆にキスされてしまった…。
なんで自分なんかにキスしたの?
そう聞きたかった悠だが、聞けないままムスっとした。
「まっ、別にいいけどな。お前がそのまま男のふりしててくれたほうが、他の奴らが言い寄って来ないだろうし」
ムスッとしたまま悠は黙っていた。