一樹君の恋人は天使なんです

「あ、いや。可愛くて、つい…」

 一樹も赤くなった。

「似合ってよかった。妹の置いている服だから、大丈夫だとは思ったが。お前、やっぱりそうゆう恰好のほうが似合っているぞ」

 本気で言っているのかどうか分からないが、悠はあえて何も言わないまま黙っていた。
 




 とりあえず朝食を食べる事にした一樹と悠。


 ご飯と味噌汁と卵焼き、焼き魚、新鮮な野菜サラダ。

 炊き立てのご飯はとても美味しく、味噌汁も具たくさんでとても美味しい。

 魚も焼き加減がちょうどよくて、卵焼きもふんわりしている。


 
 黙って食べている悠を一樹はそっと見つめた。

 箸の使い方がちょっとぎこちなくて。

 でも上品に食べている悠。


 どこかのお嬢様のように見えるなぁ…。

 一樹はそう思った。






 朝食が終わると、一樹が珈琲を入れてくれた。

 おしゃれなカップにソーサーもつけてくれて、ドリップ珈琲でとてもいい香りがした。


「砂糖とミルクは入れるか? 」

「いえ、そのままでいいです」


 と、悠は一口珈琲を飲んだ。

 いい香りはするが、ちょっと苦かった悠はちょっと顔をしかめた。

 そんな悠を見て、一樹はクスっと笑った。


 悠がカップを置いたのを見て、一樹はスティックのお砂糖を1つと、ミルクを入れて、スプーンで混ぜてくれた。

「お前珈琲飲み慣れてないんだな。ごめんな、聞いてから入れればよかったな」

「いえ…すみません…」

「別に謝る事ではない。それより、今日は俺と本音で話してくれないか? 」
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