一樹君の恋人は天使なんです

 家に戻って来ると。


「あの…夕食、作ってもいいですか? 」

「え? 作ってくれるのか? 」

「はい」


 大丈夫なのか? と、一樹は悠を見ている。


「自分も一応は作れます。一応ですが…」

「そうか、じゃあお願いするよ。冷蔵庫の中の物、自由に使っていいから」

「は、はい」


 冷蔵庫の中を見ながら、悠は作るものを考え始めた。


 一樹はソファーに座って、テレビを見て待つ事にした。



 コトコトとちょっと不器用な音が聞こえてきて、ちょっと心配げに一樹はチラッと用鵜を見てみるが、とても懸命に調理をする悠を見ていると健気でかわいく思えた。


 

 焼いている音やご飯の炊ける音が聞こえて。


 かれこれ待つ事1時間近く待つ事。

 ようやく夕食が出来上がった。


 シンプルにハンバーグを焼いてくれた悠。

 サラダは切った野菜が盛り付けてあり、茹で卵が半熟であるが形がガタガタになっている。

 ハンバーグは焼いてあるが、焼きすぎてしまったようで裏面が焦げていて、表はデミグラスソースがかかっているため見てくれはまだいい。

 しかし…

 ご飯がお粥のようになっていた。



 用意した悠はちょっと申し訳なさそうな顔をしている。


 手を合わせて食べ始める一樹。


 何も言わないで黙々と食べている一樹を見て、悠は申し訳ない顔をして、一口ずつ食べている。


 沈黙が続いて…。

「ごめんなさい…」

 ボソッと悠が言った。
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