一樹君の恋人は天使なんです
「ん? なんで謝るんだ? 」
「だって…美味しくないから…」
「美味しくないなんて、そんな事ないぜ」
「無理しなくていいですよ。ご飯も失敗しちゃったし、ハンバーグも焦げてしまって…」
俯いてしまう悠…。
「味はとってもいいぜ。心配するな」
「でも…」
「お前って、料理得意じゃないだろう? 」
「はい…」
「誰にでも不得意な事って、あるだろう? それはしかたないじゃないか。それに、料理は作る回数で上手くなってゆくからな。これから、沢山作ってゆけば上手くなるからいいじゃないか。今日は、これだけ作れだんだから、上出来だ。お粥もたまには、いいもんだぜ」
一樹の優しい笑顔に、悠はちょっと安心させられた。
「それより、どっか行きたいところないか? 」
「行きたいところ? 」
「そう。例えば、遊園地とか動物園とか」
「遊園地? 動物園って、動物がいるところですか? 」
え?
一樹はきょんとなった。
「動物って広い草原に、自由に走っているのではないのですか? 」
「…面白いな、お前。…もしかして、動物園行ったことないのか? 」
「はい、そにょうな場所は行った事ありません」
「へぇー。じゃあ、今度の休みに連れて行ってやるよ動物園に」
「本当ですか? 」
「ああ。俺もずっと行ってないからなぁ」
笑いながら一樹は行った。
悠は動物園の事を全く知らないのか、不思議そうな顔をしていた。
この日は夕食を食べてからしばらくして、一樹は悠を送って行った。
悠が教えてくれた住宅地の、ちょっとおしゃれなマンションに住んでいる悠。
思ったより高級そうなマンションい住んでいる悠に、一樹はちょっと驚いていた。