一樹君の恋人は天使なんです
悪魔の誘惑?
数日後。
休憩中に、悠に近づいてきた京香。
「末森君、隣いい? 」
悠の隣に座って来る京香は、妙に体をくっつけて来る。
「あ、末森君の珈琲美味しそうね」
と、悠の飲んでいた缶珈琲を勝手に飲む京香。
「美味しい! 末森君って甘党なんだね」
ニヤッと笑って、悠を見る京香はちょっと不気味に見えた。
「あ、私ってば末森君と間接キスしちゃった」
一人で満面の笑みを浮かべ笑い出す京香に、悠は呆れていた。
何がしたいのやら…。
返す言葉も見つからず、悠は黙っていた。
仕事にもどると、悠はそのままいつも通り仕事を続けた。
しばらくすると。
「末森君、ちょっと来てっ」
京香が強引に悠の手を掴んで、事務所の外に連れ出した。
京香に連れられてきたのは、あの資料室。
「ここなら誰も見てないわ」
フフっと怪しく笑い浮かべ、京香は悠の首に腕を回した。
「ねぇ末森君。この前見たでしょう? 私と所長がキスしているところ」
思い出したくないことを…。
悠は内心ムッとしたが平然を装った。
「あれ、わざとやったのよ」
「はぁ? 」
「どうして? ってね。末森君に、やきもちやいて欲しかったの」
「やきもち? 」
「そっ、だて末森君って私の事好きでしょう? 」
「はぁ? 」
そんなわけないだろうが!
何を勝手なこと言っているの?
悠は呆れてしまった。
「だって、末森君。私の言う事聞いてくれるし、この前だって抱きしめてくれたじゃないの。だから、わざと所長とキスしているところを見せたの。きっと末森君なら、やきもち焼いてくれるって思ったから」
ヌーッと顔を近づけてくる京香。