一樹君の恋人は天使なんです

 夕方になり、熱が下がってきた悠はなんとか食べれるものを作った。

 家にある食材は卵とパンだった。

 とりあえず目玉焼きを作って、パンの上に乗せて食べる悠。

 美味しくもない…ただお腹何か入れるために食べている悠。



 
 食べ終わると一息ついた。


「…人間の世界では、生きてゆくためには働かなくちゃならないのよね。…」


 フッと一息ついて、悠は立ち上がり洗面所で顔を洗った。


「仕方ない…もう少しだから…」

 そう言って何かを決意した悠。


 
 
 ピンポーン。

 チャイムが鳴り、悠はちょっと驚き玄関に向かった。

 モニターを見ると…一樹の姿が映っていた。

 
 そっか…この前送ってきてくれたから家知ってたんだ。


 玄関のドアにもたれ悠は俯いた。


 ピピピ。
 
 携帯電話の着信音が聞こえた。


「もしもし? …あ、父さんどうしたの? 」


 玄関の向こうで一樹の話し声が聞こえる。

 悠は聞き耳を立てた。

< 49 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop