一樹君の恋人は天使なんです
その後、一樹は仕事に向かった。
着替えは昨夜のうちに洗濯して、乾燥までかけていた為乾いていた。
ちょっと家によって着替えると言って、早めに出て行った一樹。
夜にまた来ると言って
「行ってきます」
と笑顔で出勤して行った一樹。
「行ってらっしゃい」
と、悠は笑顔で一樹を送り出した。
一樹が出勤した後、悠はリビングのソファーに座り水晶を手に取った。
「迎えに来てって言ったけど、どうしよう…」
ナーディは人間界に未練がなければ、帰ってきても良いと言った。
でも今の悠は、一樹に想いを抱いてしまった。
未練がないとは言えない…。
このまま人間かに残る事がいいのだろうか?
ピンポーン。
チャイムの音に、悠は水晶を棚の中にしまった。
モニターを見てみると。
見知らぬ紳士が立っていた。
黒いスーツに、きりっとした顔立ちの白髪の紳士。
見知らぬ紳士に、どこかで見覚えがあるような気がした悠。
悠が玄関のドアを開けると、白髪の紳士は丁寧にお辞儀をした
「初めまして、悠里様」
悠里様? そんな丁寧な呼び方をするなんて、この人は誰?
驚いた目で紳士を見つめている悠。
「私は末森昭三(すえもり・しょうぞう)様の執事で、芝野久三(しばの・きゅうぞう)と申します。ずっと、貴女を探しておりました悠里様」
「探していた? どうゆう事なのですか? 」
「詳しくは、旦那様よりお話がございます。一緒に来て頂けませんか? 」
「どうゆう事なのか分かりません。一緒に行くことは、お断りします。良く判らない人に、お会いすることはできません」
「左様でございますか。では、また後日、出直して参ります。悠里様のお元気そうなお顔を、拝見できただけでも光栄でございますので」
久三は丁寧なお辞儀をして、そのまま帰って行った。