一樹君の恋人は天使なんです
「末森…もしかして、末森財閥の方ですか? 」
「はい。実は、末森悠里を探しております」
「末森悠里? 」
「はい、先日。貴方と一緒にいるのを拝見しまして」
「僕と? 」
「ええ、数日前の事ですが」
「どこで見かけたのですか? 」
「駅前のショッピングモールです」
ん? と、夏樹は考え込んだ。
ショッピングモールには、しばらく来ていない。
休日も混在していて、なかなか行く気になれず近くのスーパーで買い物をしている。
もしかして兄貴と間違えているのだろうか?
「すみません。それ、僕ではないと思います」
「え? 」
「僕には双子の兄がいます。なので、見かけたのは兄のほうだと思います」
「双子のお兄さんですか? それはまた、失礼しました」
「いえ。双子なので、似ていますから。兄に聞いておきましょうか? 末森悠里さんの事を」
「はい。もし可能でしたら、名刺の番号に電話をお願いします。悠里は、私の兄の孫のです」
「そうでうか。分かりました、伝えておきます」
昭三はちょっとほっとした表情を浮かべた。
昭三と別れた後、夏樹は一樹に電話をかけた。
一樹は夏樹と別れた後、悠の家に向かった。
悠は夕飯を作っていた。
誰でも作れそうなカレーを作った悠。
カレーのいい匂いが食欲をそそる。
ご飯は今日は普通に炊けていた。
カレーも普通に作れていた。
だが具材を見ると…
ジャガイモが大きく、半分だけ切った状態。
ニンジンは太目に切ってある輪切り。
玉ねぎも大きめに切ってある。
食べてみると、ジャガイモはちょっとかためで、ニンジンもかためだった。
だが味はちゃんとしみこんでいた。
食べてみると普通に食べれるカレーで、一樹はとても喜んだ。
サラダは出来合いの物を買ってきたようで、シンプルなレタスとキャベツがお皿に盛ってある。
大きめのジャガイモをスプーンで砕いて食べている一樹を見て、悠はちょっと申し訳ないような目をしていた。
ピピッ。
一樹の携帯が鳴った。
食べる手を止めて、一樹は電話に出た。