一樹君の恋人は天使なんです
夏樹と一樹はなんだか深刻そうな顔をして話していた。
双子でも似ているようで似ていない2人。
どこか気になった悠だが、遠回りして別の道へ歩いて行った。
悠がコンビニで買い物をして出てきて歩いて来ると。
「あの、末森悠里さんですね? 」
声を掛けられ悠は立ち止まった。
悠に声をかけて来たのは、夏樹に声をかけて来た昭三だった。
かっちりとしたスーツ姿に、ピンと背筋を伸ばして凛としている昭三を見て、悠はどこか見覚えがあると思った。
「どちら様でしょうか? 」
悠が尋ねると昭三は深く頭を下げた。
「初めまして、私は末森昭三と申します」
末森昭三? そう言えば、この前尋ねてきた人が行ってた名前だ…。
今度は本人が来たの?
でも、どこかで見たことがあるような…。
ちょっと驚いている悠に、昭三は優しく微笑みかけた。
「驚かせてしまって、申し訳ない。私は、あなたのお爺様の双子の弟です」
「お爺様? 」
「はい。…」
昭三は辺りを見た。
人通りの多い場所を確認して、ここでは話しずらいと察した昭三。
「ここでは、人に聞かれてしまいます。一緒に来ていただけますか? 」
そっと、悠の手を取って昭三は微笑んだ。
なんとなくその微笑みに、悠はほっとさせられて一緒に着いて行った。
オフィス街の通りでも、ちょと静かなカフェにはいった昭三と悠。
奥の方の静かな席に座り、軽い食事をしながら昭三は話し始めた。
「ずっと、貴女を探していました。悠里さん」
「え? 私の名前、ご存知なのですか? 」
「はい、兄から聞いていました。可愛い孫の悠里(ユウリ)がいると」
「お兄様ですか? 」
「私の兄は名前を昭二と言います。貴女の世界では、ショージと呼ばれていたと思います」
ショージ…確かにお爺様の名前。
でもどうして、この人とお爺様が双子の兄弟なの?