一樹君の恋人は天使なんです
「だって。悠君綺麗すぎますから。きっと、何か事情があって男性のふりをしていると思ったんです。だから、雇ってあげたらって思って。なんとなく、所長が悠君を好きになるんじゃないかって思ったんです」
図星を指されて一樹は赤くなった。
「所長。悠君を、そろそろ本当の女性に戻してあげたほうが良いです。そして、できれば京香さんを辞めさせてください。私が言うのは違うでしょうが」
「ああ、それは考えている。もうそろそろ、返事が来ると思う」
「そうですか。それなら安心です。私は、応援していますよ。所長に、そろそろ幸せになって欲しいと思っていますから」
「あ、ああ…」
照れている一樹も可愛く思える。
今まで俺様で「女は面倒だ」と言っていた一樹。
だが悠に出会って変わってきた。
そう。
幸せになって欲しいとみんなが願っている…。
それから。
夕方になり、一樹に一本の電話が入ってきた。
「…本当か? …それは助かる…まぁ、あまり良い話ではないが。そこまでの確証があるなら、大丈夫だろう…。ああ…分かった…」
電話を切ると一樹はホッと一息ついた。
仕事を終え。
一樹は悠の元へ向かった。
あれから悠は眠っていたようで、ちょっと顔色も戻っていた。
一樹は買ってきた食材で夕食を作ってくれた。
焼き魚と餃子を作ってくれた一樹。
短時間で、手作りの餃子を作ってしまう一樹に、悠はただ感心するしかなかった。
「お店で売っている餃子より、美味しいですね」
とてもご機嫌で悠が言った。
「ちょと誉めすぎだが、素直に嬉しい」
「あの…話しておきたい事があるのですが」
改まって言う悠に、一樹はキョンとなった。